「東のエデン」は,エデンの東を目指す旅の道標となったか
「東のエデン」を見ました。
夏に完結してから既に一回見ていたのですが,最近2度目を見て,感想を書きたくなったので書きます。
原作・脚本・監督:神山健治×キャラクター原案:羽海野チカ!!
この国の“空気”に戦いを挑んだ、ひとりの男の子と、
彼を見守った女の子の、たった11日間の物語。
「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX」「精霊の守り人」など、ハイクォリティな映像とともに、
鋭い洞察力で深遠な人間ドラマを展開してきた神山健治監督が初のオリジナル企画に挑む!
キャラクター原案は、「ハチミツとクローバー」や、現在ヤングアニマルにて連載中の「3月のライオン」(白泉社刊)でも、男女問わず幅広い層から支持される漫画家・羽海野チカ。
アニメーション制作を手がけるのは、Production I.G。
音楽は『スカイ・クロラ The Sky Crawlers』で第41回シッチェス・カタロニア国際映画祭最優秀映画音楽賞を受賞した川井憲次が担当。
さらに、イギリスの人気ロックバンドOASISが、初アニメタイアップとなった本作で、壮大なストーリーを盛り上げる。
2010年11月22日(月)。日本各地に、10発のミサイルが落ちた。
ひとりの犠牲者も出さなかった奇妙なテロ事件を、人々は「迂闊な月曜日」と呼び、すぐに忘れてしまった。
それから3ヶ月。卒業旅行でアメリカに出かけた森美 咲(もりみ・さき)は、ホワイトハウスの前でトラブルに巻き込まれ、ひとりの日本人に窮地を救われる。
滝沢 朗(たきざわ・あきら)。彼は記憶を失っており、一糸まとわぬ全裸の姿で、拳銃と、82億円もの電子マネーがチャージされた携帯電話を握りしめていた……。
滝沢 朗とは何者なのか?謎の携帯電話の正体は?失われた、滝沢の記憶とは何だったのか?
ってな作品です!!
羽海野チカは,時々はいる極端なデフォルメなキャラクターが重々しくなりがちな内容とのコントラストがあり,その持ち味を最大限に発揮しています。
音楽的にも映像的にも,Production I.G.だけあって,映画と同じくらい質が高いです。オープニングとエンディングがヤバイっス。連続アニメのレベルが高すぎて逆に劇場版がしょぼく思えてしまうほど。
演出としても,二回見ると伏線がはりめぐらされているのが良く分かります。よく練られている作品です。
ただ,内容的には悪くは無いけれど,ちょっと物足りなさを感じます。
神谷健治の持ち味である世の中への風刺は健在です。今回はニートを取り上げています。
ただ,12人,理不尽に選ばれたセレソンがただ一人の勝利を求めて(敗者には死が与えられると言う設定)争うというデスゲーム設定は,正直使い古されたものです。日本映画では「バトルロワイヤル」,漫画では「デスノート」でブームになり,数々のパクリものが出ました。
今デスゲームで勝負するには,もっと派手に頭脳戦を繰り広げるとか,観念ついて論争するとか,もう一ひねりあった方がよかったと思います。
「滝沢朗」と言うキャラクターは,優しくて親切で,世間を知らない(記憶が無いからね)という完全な王子様キャラであり,とても魅力的です。
ですが,「滝沢朗とは何者か」に焦点が行きすぎて,肝心の「100億円で世界を救う」という話がおざなりになってしまっています。ラストも理想が激突するわけでもなく,中途半端と言わざる終えません。
内容が無いので,神山監督の持ち味であるはずの風刺が中途半端な存在となってしまっています。ニートたちがエデン(楽園)から東(現実)へと旅立つ話にはなっていないのです(もしくは,旅立つ必要性があるかどうかの議論が不十分なのです)。
「攻殻機動隊」「精霊の守り人」と,優れた原作あってこその良さだったのでしょうか。
「東のエデン」も決して悪い作品ではありません。ですが,前作2つが良かっただけに,今回初のオリジナル作品がイマイチだったのは残念です。次回作は内容のあるものを届けて欲しいです。期待していますよ,神山さん。
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